今から40年ほど前、師匠がNHK教育テレビ「バイオリンのおけいこ」に出演した際に助手として同行しました。その時の講師が江藤俊哉氏で、撮影が終わった後ご持参のダブルケースに入っていたStradivarius DanclaとGuarneri del GesùのMario Cortiを見せていただきました。ともに素晴らしい楽器でしたが、Danclaの状態の良さに驚かされました。
Die Geige
材料は、天然の産物なので、均等に木目が出ているわけではありません。この場合セオリーに反してつり目に取った方が木目が生きますが、私はあまり好きではありません。Stradivari のDanclaなど有名な名機にもつり目の作品がありますが、自分で製作するには躊躇してしまいます。
die Aufzeichnung(記録)
kiroku
ヴァイオリン製作において重要なことは、楽器の記録を残すことです。アーチ、厚み、重さタップトーン等次作の道しるべになります。
der Holzwurm(木食い虫)
ビオラの厚みだし作業、科学が進歩してHolzwurm(木食い虫)に食べてもらえれば究極のECOですね。
楽器の厚みだしは、かなり時間と忍耐のいる作業です。専用のドリルで+0,1mmに穴をあけて規定の厚みに等高線引きで線を引きながらスクレパー(Ziehklinge)で仕上げます。
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修業時代師匠の言いつけでネック材から二本取ることを義務つけられていました。二本取れない場合は継ぎネック材を取ることになっていたので、継ぎネックの修理をするときには、二本取れないネック材を探すことになります。お金は、ありませんが長くこの仕事をしているので、ネック材もそれなりの数を持っています。探すだけでも結構な仕事です。作業自体は好きなのですが、たどり着くまでの工程を考えると気が重くなります。