



古い日本製ヴァイオリンを数多く修理してきましたが、削り出し(彫り出し)のバスバーに出会ったのは、この楽器が初めてでした。
日本の量産品では通常、バスバーは別材を貼り付ける構造ですが、この楽器は表板と一体で削り出されています。見本としたのは、当時多く輸入されていたザクセン地方の楽器だったのでしょうか。
一見すると材料も節約できそうですが、実際には貼り付け式よりはるかに手間がかかります。表板を削りながら、同時にバスバーの高さや形を仕上げていかなければならず、左右の板厚を均一に保つのも容易ではありません。
写真を見ると、左右の厚みには多少のばらつきがあり、当時の職人もその点には苦労したことがうかがえます。それでもバスバーの形そのものは実に見事で、量産品とは思えないほど丁寧な仕事です。
初めて目にした国産の削り出しバスバー。製作当時の職人が、輸入楽器を研究しながら試行錯誤していた姿が目に浮かぶようで、とても興味深い一本でした。











